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2018年12月9日の大崎裕史の今日の一杯

東京都中央区東銀座

味玉中華そば

2018年12月8日オープン。「中華そば勝本」(水道橋)、「神田勝本」(神保町)に続く「勝本」3号店。場所は東銀座。老舗の名店「萬福」の近く。店主(松村さん)はしばらくこちらにいるそう。

店名は店が8.5坪だったから。それと「八」を富士山とイメージし、その五合目から頂上を目指すという意味合いも含む。富士山の五合目まではマイカーや登山バスなどの公共交通機関を利用して誰もがたどり着けるがそこから先は自力・努力である。そんな哲学的な思いも含まれているそうな。そしてこれはたまたまかもしれないが基本メニューが850円。いい値段と思うかもしれないが食べてみると安いと思える。

カウンター6席のみで高級お寿司やさんか?と間違えそう。
メニューは中華そばと季節のそばのみ。(トッピングやご飯などはある)しかも季節のそばは3000円。1500円くらいの“ちょっと高め”ではなく、「えっ!?」という値段だけに興味をそそる。これについては「しばらくは中華そばのみで万全を期します」とのことで、お預け状態。

頼んだのは味玉中華そば950円。ここは玉子へのこだわりもスゴく、水道橋店では味玉と玉子かけご飯の玉子のブランドを変えているほど。なので、味玉も付けてみたがさすがの味玉。注文後、お湯で温めてから出す丁寧さも。

見た目は薄口醤油のように見えるが、醤油は使ってなく、塩のみ。しかも塩ダレではなく寸胴の中に直接味調整で入れている。つまり「タレ無し」なのだ。高山ラーメン方式というか、ラーメンゼロ(ゼロは塩も使ってなかったが)風というか、ラーメン業界の「常識」を覆している。店長がフレンチ出身で「なんでラーメンにはタレが必要なんですかね?」というちょっとした疑問から今回の発想になったらしい。

スープは鴨・名古屋コーチン・生ハム・イタヤガイ・ローストキノコ・ドライトマト・昆布・干し椎茸など、たっぷりの材料から取っているのでスープにも色が付いている。「水と鶏だけ」というシンプルな旨味がトレンドだが、あえて逆行する複雑な旨味を選択。

麺は浅草開化楼のスーパー製麺師による「最後のカラス新麺」と言い切る特注麺。前の2軒でもコンビを組んでいるが店主の気持ちや思いを汲み取り、他に応用できる麺ではなく、「このスープのためだけ」に作った細麺。

チャーシューはサラマンダーで焼き、ペッパーキャビア(野生ペッパー)をかけている。たまに胡椒入りのラーメンが出てくると「胡椒抜きで食べてみたい」などという感想が出ることがあるがこれはこのペッパーキャビアが加わって完成なので、「抜き」はありえない。そして卓上に調味料類は一切置いてない。(頼まれたときのために用意はしてあるらしい)そんなところにも「これがうちの味です!」という自信が垣間見られる。

しばらくは無料で高級ほうじ茶を出すらしいがこれがまたおいしい。値段が付く前に飲んだ方がいい。

値段は850円に抑えたようだが食べてみると「銀座で高級ラーメン」という満足感が得られるはず。

お店データ

中華そば 銀座 八五

中華そば 銀座 八五

東京都中央区銀座3-14-2 第一はなぶさビル1F(東銀座)

このお店の他の一杯

大崎裕史
大崎裕史

(株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。